資生堂は国内での動物実験を廃止!ただし例外もあるので注意

近年、動物実験を行わない「クルエルティフリー(Cruelty-Free)」な製品への関心が高まっています。

日本を代表する化粧品メーカーである資生堂も、2013年に国内での動物実験廃止を宣言しました。

しかし、完全に動物実験を排除しているわけではなく、中国市場をはじめとする一部の国では、法律上の要請により動物実験が求められるケースがあります。

この記事では、資生堂の動物実験に関する実態や、同社が取り組んでいる代替試験法について詳しく解説するとともに、消費者としてできることを考えていきます。

資生堂は2013年に動物実験廃止宣言をしている

資生堂は2013年に動物実験廃止宣言をして以降、日本国内での動物実験を行っていません。

資生堂は、1963年に安全性の研究部門を設立して以来、60年以上にわたり、動物を用いない代替試験法の研究に継続的に取り組んできました。2013年には、動物実験を完全に廃止し、動物を用いない安全性保証体系へと移行しました。

引用:https://corp.shiseido.com/jp/rd/safety/open/experiment/

ただし、公式サイトには「※行政からの要請による場合を除く」という注意書きがされており、場合によっては動物実験を行う可能性があります。

もじゃこ
もじゃこ

私たちの考えでは、資生堂は「完全に動物実験していない企業」とは言えません。

資生堂が動物実験を行う可能性があるケース

資生堂は2013年に動物実験の廃止を発表しましたが、以下のケースでは動物実験が行われる可能性があります。

中国市場での販売など法的要請がある場合

中国市場では一部の化粧品に対し、販売前の動物実験が依然として義務付けられています。

2021年5月に一部の一般化粧品で動物実験が免除されましたが、適用には厳しい条件があり、スキンケア製品や医薬部外品、日焼け止め、染毛剤などは引き続き対象となっています。

資生堂は中国市場での販売を継続し、公式には「自社は動物実験に関与しない」と説明していますが、動物実験が必要な国での販売を続けているため、「動物実験を容認している」と捉えられることもあります。

もじゃこ
もじゃこ

資生堂は、可能な限り動物実験を回避する方法を模索していますが、完全なクルエルティフリー企業とは言えないのが現状です。

中国における動物実験の現状 【2025年最新】中国における動物実験の現状について

特定の安全性試験が必要になった場合

新規成分や医薬部外品の開発では、代替法だけでは十分な安全性データを確保できないと判断された場合、動物実験が実施される可能性があります。

これは「社会に対して安全性の説明責任が生じた場合」に該当し、特定の状況では例外として動物実験が行われることがあるとされています。

残酷な動物実験とは?反対する理由や代替法について紹介

他国の規制に準拠するため

一部の国では、化粧品や医薬部外品の承認プロセスにおいて、動物実験データの提出が求められる場合があります。

資生堂はその国の法律に従う必要があるため、結果として動物実験を行うケースが生じる可能性があります。

もじゃこ
もじゃこ

こうした法的な要件に対応するため、完全なクルエルティフリーには至っていないのが現状です。

動物実験をしていない国や廃止に向けて取り組んでいる国について

資生堂の現在の取り組みと代替試験法の導入

例外はあるとは言え、資生堂は動物実験を行わずに製品の安全性を確保するために、長年にわたる研究成果を基にした安全性保証体系を確立しています。

資生堂の安全性保証体系は、大きく3つのステップに分かれています。

  1. 既存情報による保証
  2. 代替法による保証(In silicoおよびIn vitro試験)
  3. ヒトによる最終確認

この3つのステップにより、安全性評価の精度を高め、国内での動物実験を行うことなく製品開発を進めています。

既存情報による保証

資生堂は、長年にわたり蓄積した安全性評価の研究データや知見を活用し、動物実験を行わずに製品の安全性を保証しています。

これらの情報はデータベースとして整理されており、発売後の情報も加えて常に最新の状態に更新されています。

また、社内の研究データに加え、論文、公的報告書、外部のデータベースなどの公開情報も精査し、安全性評価に活用しています。

化学物質の安全性に関する情報は世界中で日々更新されており、資生堂はこれらの最新情報を適切に取得し、安全性評価に活用しています。

もじゃこ
もじゃこ

さらに、担当者はグローバルな業界や学会の安全性評価活動に積極的に参加し、知識やスキルを向上させることで、より精度の高い安全性保証を実現しています。

代替法による保証

資生堂では、動物実験を行わずに製品の安全性を評価するために、In silico(コンピュータ解析)とIn vitro(試験管内試験)の2つの手法を活用しています。

In silico(コンピュータ解析)

In silico(コンピュータ解析)では、数理モデルやナレッジベースを用いて、既存の原料と類似する成分の安全性を予測します。

化学構造や生物学的反応が類似している成分のデータを活用することで、新たな動物実験を行うことなく、安全性を評価することが可能です。

各評価項目は専門家によって慎重に検証され、妥当性が確認されます。

In vitro(試験管内試験)

In vitro(試験管内試験)では、培養細胞などを用いた実験により安全性を評価します。

目的に応じて複数の試験法を組み合わせ、皮膚刺激性やアレルギー反応、眼刺激性などを詳細に検証し、動物実験を行わずに製品の安全性を確認できます。

ヒトによる最終確認

既存情報の活用と代替試験法による検証を経て、安全性が保証された成分や製品については、最終段階としてヒト試験が実施されます。

このステップに進むには、それまでの試験結果や評価データに基づき、ヒト試験倫理審議会の厳格な審査を受ける必要があります。

また、成分レベルで安全性が確認されても、最終製品としての安全性を確保するために追加の試験を行うことがあります。

資生堂では、ヒト試験の実施基準を厳密に定め、以下の代表的な試験項目を通じて、皮膚刺激性やアレルギー反応の有無を評価しています。

試験名概要
パッチテスト皮膚に製品を塗布し、24~48時間後の反応を観察し、刺激性を評価。
スティンギングテストかゆみやほてりなどの感覚刺激を評価し、不快な刺激を最小限に抑えるための試験。
使用テスト一定期間、実際に製品を使用し、肌への影響や使用感を調査。
アレルギーテスト3週間にわたる閉塞貼布と2週間の休止期間を経て、皮膚アレルギー反応を確認。
コメドジェニックテストニキビの元となるコメド形成の有無を評価。
敏感肌パネルによるパッチテストアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の既往歴を持つ被験者を対象に、安全性を確認。
眼科医テスト目の周囲に使用する化粧品の安全性を眼科医が評価。
ヒト光アレルギーテスト紫外線によるアレルギー反応の有無を確認。

消費者としてできること

資生堂に意見を届ける

消費者の声は企業の方針を変える力を持っています。

資生堂のカスタマーサポートや公式サイトを通じて、動物実験の完全廃止を求める意見を送ることができます。

もじゃこ
もじゃこ

SNSで「#資生堂動物実験やめて」などのハッシュタグを活用し、動物実験反対の意識を広めることも効果的です。

動物実験を一切していない企業を利用する

クルエルティフリーな選択をするためには、国内はもちろん、中国など動物実験が義務付けられている国でも販売を行っていない企業を選ぶことが重要です。

Leaping BunnyやPETA認証を受けたブランドの中には、開発から販売まで一切動物実験を行わない企業もありますが、一部のブランドは中国市場などでの販売を継続している場合があります。

そのため、単に「動物実験をしない」と表明している企業だけでなく、輸出先の国の規制も考慮した上で、動物実験を完全に排除している企業を選ぶことが大切です。

もじゃこ
もじゃこ

消費者がクルエルティフリーの製品を選び、そうした企業を支持することで、市場における動物実験廃止の動きを加速させることにつながります。

資生堂 動物実験 まとめ

資生堂は2013年に日本国内での動物実験を廃止しましたが、中国をはじめとする一部の国では、法的要請により動物実験を受け入れざるを得ない状況が続いています。

こうした現状から、資生堂を完全なクルエルティフリー企業とすることはできません。

しかし、同社は可能な限り動物実験を回避するために、代替試験法の開発や安全性保証体系の確立に取り組んでいます。

こうした取り組みがさらに進み、世界中で動物実験を完全に廃止する日が来ることが望まれます。

私たち消費者ができることは、クルエルティフリーな選択を意識し、企業に対して動物実験の廃止を求める声を届けることです。

SNSでの発信や、動物実験を行わないブランドを選ぶことが、動物実験廃止の流れを加速させる大きな力になります。

動物実験のない未来を実現するために、今できることから始めてみましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です